2024年10月1日火曜日

ロケ地 ひとり旅

   日野・多摩・稲城地区  土谷縷美  

 

多摩市 京王線聖蹟桜ヶ丘駅から桜ケ丘二丁目経由永山駅行きのバスに乗ると1995年に上映されたスタジオジブリの名作“耳をすませば”の舞台になった、いろは坂・金毘羅神社・桜ケ丘ロータリー界隈で、聖地巡礼ルートを散策しているらしき若者の姿をよく見かけます。感動した映画のロケ地に行ってみたいと云う気持ちは超後期高齢になった私でも同じ思いを抱いているので共感します。

 

 “人生の約束”

(2016年上映、竹野内豊・江口洋介・優香・小池栄子・西田敏行etc

あらすじ

IT関連企業創業からの盟友で掛甲斐のない親友だった友をも切り捨て、会社の拡大にしか興味がない仕事一筋に生きてきた男。数年後のある日、その親友から携帯に何回も着信が入る。無視し続けたが胸騒ぎを覚え、親友の故郷・富山県新湊を訪ねたが既に帰らぬ人となっていた。親友の娘から、故郷で続く新湊曳山祭りの曳山を隣町から奪い返したいと願いつつ亡くなったと聞かされる。亡き親友の思いを知った男が親友の娘の願いでもある曳山を救おうと立ち上がる中で人との絆を見つめ直し、失ってきた大切なものを取り戻そうとする過程が描かれた感動の映画。

 

何十年も前に偶然車中から眺めた残雪輝く立山連峰の壮大な美しさが忘れられず、あの素晴らしい景色をもう一度見てみたいと願っていた折にDVDで観た“人生の約束”。ロケ地が富山県射水市と知り、杖歩行ながらひとり旅をしました。天候が思わしくなく残念ながら立山連峰の全景は見ることは出来ませんでしたが、ロケ地となった射水市新湊地区の内川は「日本のベニス」とも呼ばれているとか。内川には13本の個性的な橋が架かり小船が係留されていて、板塀の古民家が連なる内川周辺の回廊と橋を巡りながらの散策は風情豊かな趣を感じ今なお脳裏に残っています。古民家の宿に戻る途中、中学生らしき男子に声をかけ、道を尋ねたとき「なんでこんな何にもない町に来たのですか!?」と聞かれ、小学校低学年であったであろう頃の映画は知らないだろうと思いながらも“人生の約束”の事を話した。すると驚いたことに「あの映画はこの町の誇りです!!」と目を輝かし嬉しそうに語っていました。
“社会を明るくする運動”のポスターにも使われた、
高倉健主演の“あなたへ”でもロケ地となった町、どちらも胸に迫るストーリーでしたが「町の誇りです!」と胸を張って話していた中学生の言葉が印象深く、より一層素晴らしい想い出の旅となりました。

2024年9月3日火曜日

豚の話

                            八王子地区   豚 児


 この歳になってもいくつか仕事をしています。その中で一番長い間、50年近く携わっているのが養豚です。農場で飼育にも関わった経験もありますが、得意は美味しい肉を作るための技術開発です。

 世界に豚の品種はいくつもあり、子豚をたくさん産むもの、成長の早いもの、筋肉繊維のキメ細かなもの、脂肪成分に特徴のあるものなど様々です。

 特徴のある純粋種を選抜し、組み合わせたものをハイブリッドと呼び、そこに飼料などを工夫し、さらには栄養成分の分析をしブランド豚肉として付加価値販売をするわけです。また、どんな豚でも健康に育てないとその特徴は生かせませんので、病気を予防し衛生管理は欠かせません。

 ブランド豚肉は、どこのスーパーやお肉屋さんでも販売しています。ぜひ食べ比べて自分の舌に合ったものを見つけて見てください。小売店でのスライスの厚さや脂肪の処理など商品作りにも違いはかなりあるものです。また、美味しさは豚肉そのものが持つ柔らかさや
脂肪の風味も大事ですが、ロースやバラなど部位に合わせた料理も大切です。

 たかが豚肉ですが、店頭に出て胃袋に届くまでには様々な人の手がかかっているのです。



「トウキョウXという東京都が開発した豚の品種」


  




2024年7月31日水曜日

保護司つれづれ

                          



                        府中地区保護司会  吉野 博文 

徒然なるままに、都立浅間山(せんげんやま)公園周辺を散策。東府中駅から武蔵小金井駅行きのバスで浅間山公園前下車。武蔵野の面影を残す小高い丘(前山、中山、堂山の三山)、5月中旬に見頃を迎え黄色い花を咲かせるムサシノキスゲ群生地を自然観察できます(今年は花が少なく残念)。尾根道をゆっくりと歩いていくと新緑の雑木林に木洩れ日を浴びた小さな社の浅間神社があります。この神社は堂山(標高80M)の頂にあり

人見が原の地で南北朝時代(正平7年1352年)に足利尊氏と新田義興・義宗が命をかけて戦った古戦場の跡地に建立されています。神社脇の女坂をゆっくりと下りコナラ、シデ等の雑木林を自然景観し、季節に応じた野鳥が見られる等、貴重な体験ができます。少し歩くと湧き水のあるおみたらし神社に着きます。浅間山の西、徒歩10分位のところに、都立府中の森公園があります。この公園は府中基地跡地の一部を整備して造られたくさんの木々が茂っている総合公園です。地域における総合文化・レクリエーションの拠点となっています。園内には300Mの桜並木「花のプロムナード」をはじめ、ジョギングコース、野球場などのスポーツ施設や遊具広場、噴水のある水辺広場等があります。また、園内には著名作家による彫刻が11体配置されているほか、府中市美術館があります。
南隣地には令和7年5月リニューアルする府中の森芸術劇場があり、個性あふれる3つの劇場空間で豊かな時間を過ごすことができます。京王線東府中まで徒歩で約10分位。散策時間は約2時間です。ふらっと芸術空間の府中を体験してみては。

2024年6月25日火曜日

『ちいさいおうち』

 

                          北多摩北地区保護司会 東村山分区  

                                 佐藤 玲子

 

バージニア・リー・バートンという絵本作家をご存知でしょうか?最初は自身の子供たちのために絵を描き始め、1930年代から60年代にかけて絵本を製作しました。彼女が製作した多くの絵本は、アメリカ絵本の古典に数えられています。

 バートンの代表作のひとつに『ちいさいおうち』(“The Little House”)があります。この絵本はアメリカで1942年出版され、日本では1954年に初めて石井桃子訳によって発行されました。2019年に改版され70刷近いロングセラーです。私は小学校の頃、学校の図書室で手にして読み、絵本の中で一番印象に残っています。娘が幼児のころ読んであげたときに、内容がやや難しくきれいな絵だけを手で追っていましたが、自分で読めるようになると、あらすじや感想を言えるようになったのを思い出します。

 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、絵本のあらすじはこうです。静かな田舎に「ちいさいおうち」がたっていました。やがて道路ができ高いビルがたち、まわりがにぎやかな町になるにつれて、「ちいさいおうち」は、

ひなぎくの花がさく丘をなつかしく思うのでした。――そして、すっかりみすぼらしくなってしまった「ちいさいおうち」が引っ越しをして、再び昔のような穏やかで、しあわせな日々が戻ってきたとき、「ちいさいおうち」にも命が注がれたことを喜びました。どんなに便利な社会になっても、朝日が部屋に差し込み、夜は静かに星を眺めながらねむる。季節の移ろいを肌で感じられることが、なんて素晴らしいのだと気づかせてくれる絵本です。孫にも読んであげています。                              

                                                                                                                                            岩波書店<岩波の子どもの本>

 



2024年5月4日土曜日

「大学に4回入学」

                     町田地区保護司会 町田分区 杉山 勲

 

思い起こせば、何も考えずに入学していた。 最初の大学は付属高校からの、俗に言うエスカレーターで入った。入った学科も高校の中で「あいつはここの学科に行く」見たいな雰囲気があって、それに乗っかった感じで何も考えてはいなかったです。今ではやっていないと思うが、2年~3年次は授業が終わる時間が夜の8時過ぎ、それが月曜ら金曜まで続くという修行状態。よく続いたなと思うが、好きな実験の授業だったからだと思っている。

 次は、通信制の大学に入学。入学金が割引で入れたから。副教科を手元に置いて、講座によってテレビやラジオを視聴するので、自宅で録音・録画した物を聴いたり見たりもした。超人的な数の授業を取っている人もいてすごいなと思いましたが、多分、授業は聴いていないと思う。仕事をしている私にはとても無理です。受けたい授業が有ったので入り直しました。体育の授業は有ったのですが、仕事等で受講できない人のために認定した団体の講座に参加して証明書を提出でもOKということで、大学の掲示板に講座の案内があり「ヨット」「パラグライダー」「ボウリング」等様々なものがありました。考えたつもりだったのですが、1番考えずに入ったのが、美術大学でした。通信制なので、自宅で作品を作らないといけないことを全く考えてなかった、そもそもの間違いでした。スクーリングが抽選で受講できなかったり、途中から専攻とは全く関係の無い授業に嵌まったりして面白そうな授業を取ることに熱中したため、満期退学

 今でも、他の美術大学の一般向け講座に参加して、自分の見どころ探しをしています。

2024年3月27日水曜日

保護司つれづれ

 


西多摩地区保護司会 あきる野分区 岡部秀敏

令和6年1月1日(月)「令和6年能登半島地震」が発生し多くの人々が被災されました。心からお見舞いを申し上げます。

平成7年1月17日には「阪神・淡路大震災」が発生し、平成23年3月11日には「東日本大震災」が発生しました。日本は、その経験をも踏まえ能登半島地震への対応が行われていると感じています。マスコミの報道を見ていると、二つの災害を含め過去にあった災害の経験をも超える対策が求められていると感じます。対策に携わっているすべての人々に敬意を感じています。

しかし、日がたつにつれ不心得な行動をする人がいるという報道に触れることがあり憤りを覚えます。自分の家族との話の中でも「そのような人の気持ちが理解できない。」という話をしています。

さて、70歳を超えた自分に今何ができるかと思うとき、日常の中で「自分が自分できることを懸命にやること、人に迷惑をかけないように生きること」だと思います。自分の人生を振り返ると「与えられた時に、与えられて事を」懸命にやることで生かされてきたのではないかとつくづく思います。

今は、保護司として対象者と向き合う時間がその時間だと思います。向き合う時間は懸命に向き合っています。しかし、懸命に向き合うとき「心の安らぎ」が必要だと思っています。災害にあわれた皆さんも「安らぎの場」が必要ではないかと思います。時間はかかると思いますが早く「安らぎの場」が持つことができ、新たな生活が始めることができるように祈るばかりです。

私は、生まれ家〔東京都西多摩郡檜原村人里の山の中腹(標高700m)に「憩いの郷・大野荘」と名付けた古い家(眺め抜群)〕に月に12回行き、「安らぎの場」として掃除や整備を続けながら、これからも与えられた役割を果たしていきたいと思っています。(写真は大野荘からの眺めです。)