北多摩北地区保護司会 東村山分区
佐藤 玲子
バージニア・リー・バートンという絵本作家をご存知でしょうか?最初は自身の子供たちのために絵を描き始め、1930年代から60年代にかけて絵本を製作しました。彼女が製作した多くの絵本は、アメリカ絵本の古典に数えられています。
バートンの代表作のひとつに『ちいさいおうち』(“The Little
House”)があります。この絵本はアメリカで1942年出版され、日本では1954年に初めて石井桃子訳によって発行されました。2019年に改版され70刷近いロングセラーです。私は小学校の頃、学校の図書室で手にして読み、絵本の中で一番印象に残っています。娘が幼児のころ読んであげたときに、内容がやや難しくきれいな絵だけを手で追っていましたが、自分で読めるようになると、あらすじや感想を言えるようになったのを思い出します。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、絵本のあらすじはこうです。静かな田舎に「ちいさいおうち」がたっていました。やがて道路ができ高いビルがたち、まわりがにぎやかな町になるにつれて、「ちいさいおうち」は、
ひなぎくの花がさく丘をなつかしく思うのでした。――そして、すっかりみすぼらしくなってしまった「ちいさいおうち」が引っ越しをして、再び昔のような穏やかで、しあわせな日々が戻ってきたとき、「ちいさいおうち」にも命が注がれたことを喜びました。どんなに便利な社会になっても、朝日が部屋に差し込み、夜は静かに星を眺めながらねむる。季節の移ろいを肌で感じられることが、なんて素晴らしいのだと気づかせてくれる絵本です。孫にも読んであげています。
岩波書店<岩波の子どもの本>
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