我をさえ全く忘れて身震いするという恍惚
日々のしがらみから抜け出せるという幻想の空間 肉体を呪縛する金鎖からの解放
昇ってまた浮遊していく天人の感覚
我を取り巻く周囲は光輝き、力みなぎり
動物としての睡眠さえ不要にするという・・・その短い瞬間
全く微量の覚せい剤と呼ばれる白い粉が
その人間を天上にまた劇場のスポットライトの中に眩い光と歓声の渦の中に浮き上がらせ
しばらくは、そう、ほんのしばらくは、泳がせるのだという
覚せい剤という薬物が作り出した、この虚偽の精神と空間
そうして・・・徐々に、やがて、血中のまぼろしが消えると
自ら作ってしまった、虚偽の空間と精神から
必ず、戻らなければならない、いつもの自分に
必ず、還らなければならない、自分の在り処に
人はぼんやりとし、やがてのたうち、胸をかきむしるとき
虚偽と破滅にまた浸かって、自分の存在を忘れるかそれとも、いつわりの快楽の刹那を求めて
再び、三度・・・虚偽の空間にしばし浸かろうとするか・・・
諾、否、諾、否、諾、否・・・・・・・
差し伸べられる手を探り当てて、苦しみ悶えて抗えるか!
すぐ目の前にある、精神も肉体も焼き尽くす必然の瞬間に
人が自分を快楽の怪物に変身させたことは
すぐさま自らを無限奈落の底へと突き落とす虚脱感、虚無感、焦燥感、幻聴と幻想
無力感、孤立感、罪悪感、倦怠と自傷
再び、立ち上がれるか、立ち向かえるか!
この薬剤を存在させた、最も巨大な、人間の罪悪と
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