その女性は
夫、を、殺した
果てしないDVの果ての
睡眠薬と電気コードと自棄の殺意の深夜
それから暗い夜とさらに暗い昼を十五年・・・
厚く高い壁の中で「女」と「人間」を見ることなく
ひたすら「殺人」と「自分」と向かい合う日々を十五年・・・
しかし
その日々は、自分を苛む日々で、ゆるす日々にはならなかった
社会復帰のための更生施設に入所しても
毎夜のトラウマと精神薬の副作用で
自由になったはずの心はさらに傷ついて
周囲の暖かい傾聴も助言にも癒されることなく
数々の精神科も精神薬も躁と鬱を往来させただけで
昼間の肉体を使う仕事に現実と痛みを忘れても
自らを罰する深夜は変わらない
病となったその心は、心配の人も薬もそして自らも治せない
今、一人暮らしは否応なく日々の「孤独」と向き合わせる
時は、前と後ろに刻一刻と過ぎていくが
自らが築いてしまっている自己防衛の城壁は未だに崩せない
彼女が自らをゆるす日は、いつ、訪れるのか
ほんとうの笑みは、いつ、その頬を緩めるのだろうか
私は、あなたにある、遠い、遥かな未来と
あなたがあなたを恕せるようになる日々を重ねる
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