2026年5月2日土曜日

第3回世界保護司会議に参加して

                                                                                                     北多摩東地区保護司会国分寺分区 
                                                                                                                                 林 博行

 2026414()419()まで(実質5)、全国保護司連盟・日本更生保護協会主催の更生保護研修『第3回世界保護司会議』に参加しました。これは一昨年オランダのハーグで行われた国際研修に続く企画で、日本各地から参加した保護司は26名。インドネシアのバリの会場で第7回世界保護観察・仮釈放会議(以下:WCPP)に併せて開催された第3回世界保護司会議です。WCPPは保護観察をはじめ、仮釈放や地域社会に基づく司法に献身する世界のリーダー・保護司などの実務家・研究者、政策立案者を結集する隔年開催のイベントです。少し大げさかもしれませんが、世界中で私たちと同じように更生保護に尽力し、研究に汗を流されていらっしゃる方々の存在を知るだけでも励みになる、そんな会でした。静岡県の保護司の方が明治の頃に生まれた保護司制度の発表で会場から喝采される様子は、本当に保護司が世界中の実務家や研究者から賞賛されているようで、少し誇らしく思いました。
 会議翌日バリから首都ジャカルタに移動し、17日はインドネシア共和国法務人権省ジャカルタ特別州地域局に属する2つの施設を視察しました。『クラスⅡAジャカルタ薬物刑務所(Lapas Narkotika)』もう一つは『クラスⅠ西ジャカルタ保護観察所(Bapas)』です。刑務所の 
 特徴としては名前にもあるようにここは薬物専門の刑務所です。1,500人定員のところ2,000人を超える受刑者を抱え、慢性的に過剰収容の状態が続いていました。驚くべきはおよそ2,000名を所長含めわずか24名の刑務官で見ているところです(日本ではあり得ませんね)。ここでは職業訓練として、縫製(ミシン)や木工そして製パンなどの実習を受けている様子を見学しました。日本の刑務所と違って写真を撮ったり受刑者に話しかけても『ご自由にどうぞ』というスタイルにはちょっとびっくりしました。再犯率を所長に質問したところ『数字は取ってない』とのことで、帰国後自分で調べてみるとインドネシアの法務人権省では『公表していい』ということが分かりました。
 西ジャカルタ保護観察所でも同様に職業訓練を行い、プロの講師がバリスタ養成を行ったりスウィーツ作りを教えたりしていました。この施設は住宅地にあるのが特徴です。理由としては『対象者はそれぞれの村や町に暮らしながら観察所に通って指導を受けるので、宅地にあって常に市井の感覚に触れていた方が良いから』だそうです。隔離するのではなく、オープンスタイルの指導を常としていました。また、水耕栽培なども敷地内で行い、その野菜を実際に販売したり敷地内にある卒業生が開いている喫茶店で
使っているそうです。
 IT導入でユニークなのは刑務所では受刑者自らが所内の端末に指紋認証でアクセスし、残りの刑期(出所予定日)などを知ることができ、保護観察所では外部からアクセスでき、対象者の処遇状況(実績)など個人情報を伏せた状態で閲覧できる点です。これは公費でまかなわれている施設なので必要と考えられているほかに『開かれた施設』としての存在を国民に理解してもらうための施策のようです。
 インドネシアは食事が日本人の味覚に合うものが多く、生の水さえ気を付けていれば食事で困ることはありませんでした。今後もさまざまな更生保護の世界を学び対象者処遇に活かしていきたいと思います。