町田地区保護司会鶴川分区 梅木信一
植物観察と巨樹・巨木
私は、花の咲く樹が好き…とくにツツジの仲間が大好きです。ツツジの園芸種は、多くの系統と何万という品種があるのですが、ツツジは江戸時代に大名庭園に植えられて、下級武士の内職で育てやすく美しい鉢物として栽培され、品種改良されつつ広まったといわれています。九州の高山にはミヤマキリシマが自生していて、5月から6月に見事な景観となります。
私は大分県の玖珠町というところで生まれ育ちました。玖珠町は、九州の中央部を貫く九州山地を含んでおり、多くのメサ(阿蘇山の溶岩台地)が盆地を取り囲んでいます。この町では山といえば、このテーブルのように頭の平たい山をさすのですが、なかの一つの「切株山(きりかぶやま」)に、巨樹にまつわる古い民話(豊後国風土記)が残っています。
小さい頃に繰り返し聞いた話によると、昔、この地域の村には大きなクスノキがそびえており、その陰になって村に日が当たらずに困っていたところ、大きな男がやって来てこのクスノキを切り倒し、その切り株が山になったというものです。この町の名前の由来(樟→玖珠)だということも聞きました。こじつけのようですが、今思えば、こんなところからも巨樹との繋がりを感じているところです。
現在、全国巨樹・巨木林の会や東京巨樹の会に所属して、毎月の観察会や年数回の観察旅行に参加して、巨樹や植物観察を楽しんでいます。
感動した巨樹・巨木
巨樹の定義としては、地上から130cmの位置で幹周が300cm以上の樹木としています。
クスノキ(クスノキ科)は暖地の多い常緑広葉樹で、長命で多くの巨樹があります。幹・根・葉は「樟脳」の原料となり、全体に独特の香があります。「東京巨樹の会」の観察会で訪れた熊本県熊本市北迫町の「寂心さんのクス」は壮大な樹形で枝張りの素晴らしい。この樹の由来となった「寂心さん」の歴史も興味深いと思います。
鹿児島県屋久島町の「縄文杉」は有名なスギ(ヒノキ科)の巨樹で、今年の4月に念願が叶い、観察することができました。樹齢は幾つかの説がありますが、2700年が妥当なようです。往復約10時間の登山が必要となるが、一見の価値はあると思います。白谷雲水峡やヤクスギランドなどで、多くの巨樹に出会うことができます。
町田市にも多くの巨樹・巨木があり、観察して楽しんでいます。町田市図師町五反田谷戸の「畦桜」、推定樹齢200年のヤマザクラ(バラ科)です。谷戸の奥には溜池があり、棚田が大切に耕作されています。毎年観察に出かけますが、里山と谷戸に相応しいサクラだと実感しています。このような里山や谷戸が残っています。近くには小野路宿里山交流館があり、里山散策を楽しむことができます。
今後も各地を見てまわりたいと考えています。大きな樹が存在するということは、先に生きた人たちが樹を大事にしてきた証です。春になって芽が出てくれば嬉しいだろうし、元気がなければ心配するでしょう。
「寂心さんのクス」樹形 クスノキ(クスノキ科)樹齢800年 熊本県熊本市北迫町
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「寂心さんのクス」枝張り クスノキ(クスノキ科)樹齢800年 熊本県熊本市北迫町
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