2018年9月17日月曜日

巨樹を訪ねて


             町田地区保護司会鶴川分区 梅木信一

植物観察と巨樹・巨木 
    私は、花の咲く樹が好き…とくにツツジの仲間が大好きです。ツツジの園芸種は、多くの系統と何万という品種があるのですが、ツツジは江戸時代に大名庭園に植えられて、下級武士の内職で育てやすく美しい鉢物として栽培され、品種改良されつつ広まったといわれています。九州の高山にはミヤマキリシマが自生していて、5月から6月に見事な景観となります。
 私は大分県の玖珠町(くすまち)というところで生まれ育ちました。玖珠町は、九州の中央部を貫く九州山地を含んでおり、多くのメサ(阿蘇山の溶岩台地)が盆地を取り囲んでいます。この町では山といえば、このテーブルのように頭の平たい山をさすのですが、なかの一つの「切株山(きりかぶやま」)に、巨樹にまつわる古い民話(豊後国風土記)が残っています。

 小さい頃に繰り返し聞いた話によると、昔、この地域の村には大きなクスノキがそびえており、その陰になって村に日が当たらずに困っていたところ、大きな男がやって来てこのクスノキを切り倒し、その切り株が山になったというものです。この町の名前の由来(樟→玖珠)だということも聞きました。こじつけのようですが、今思えば、こんなところからも巨樹との繋がりを感じているところです。

  現在、全国巨樹・巨木林の会や東京巨樹の会に所属して、毎月の観察会や年数回の観察旅行に参加して、巨樹や植物観察を楽しんでいます。


感動した巨樹・巨木
    巨樹の定義としては、地上から130cmの位置で幹周が300cm以上の樹木としています。

クスノキ(クスノキ科)は暖地の多い常緑広葉樹で、長命で多くの巨樹があります。幹・根・葉は「樟脳」の原料となり、全体に独特の香があります。「東京巨樹の会」の観察会で訪れた熊本県熊本市北迫町の「寂心さんのクス」は壮大な樹形で枝張りの素晴らしい。この樹の由来となった「寂心さん」の歴史も興味深いと思います。
 
   鹿児島県屋久島町の「縄文杉」は有名なスギ(ヒノキ科)の巨樹で、今年の4月に念願が叶い、観察することができました。樹齢は幾つかの説がありますが、2700年が妥当なようです。往復約10時間の登山が必要となるが、一見の価値はあると思います。白谷雲水峡やヤクスギランドなどで、多くの巨樹に出会うことができます。

町田市にも多くの巨樹・巨木があり、観察して楽しんでいます。町田市図師町五反田谷戸の「畦桜」、推定樹齢200年のヤマザクラ(バラ科)です。谷戸の奥には溜池があり、棚田が大切に耕作されています。毎年観察に出かけますが、里山と谷戸に相応しいサクラだと実感しています。このような里山や谷戸が残っています。近くには小野路宿里山交流館があり、里山散策を楽しむことができます。

    今後も各地を見てまわりたいと考えています。大きな樹が存在するということは、先に生きた人たちが樹を大事にしてきた証です。春になって芽が出てくれば嬉しいだろうし、元気がなければ心配するでしょう。

巨樹・巨木や里山が、自然を学ぶ場になれば幸いだと思っています。


ミヤマキリシマ(ツツジ科)大分県玖珠郡玖珠町万年山(ハネヤマ)

切株山と稲穂 大分県玖珠郡玖珠町

  「寂心さんのクス」樹形 クスノキ(クスノキ科)樹齢800熊本県熊本市北迫町 

「寂心さんのクス」枝張り クスノキ(クスノキ科)樹齢800熊本県熊本市北迫町