西多摩地区保護司会 平田 みつ枝
父親と同じ職業を目指し、小さい頃から剣道を習っていた私がある日武道だけではダメと言われ、生田流箏曲もたしなみの一つとしてお稽古を始め看板までいただいた。そのおかげで、公務員として無事に定年退職を迎える事が出来、さてこれから何か地域に関わる事が出来ないかと思っていたところ偶然ポスティングされていたチラシに心が動かされたのです。
「文化教室 大正琴をやりませんか」の文字を見た瞬間なぜか父親の顔が浮かんだのです。父はとても厳格で本人が間違いだと気付くまで、正座をさせられた事もありましたが反面、同じ九州人の村田英雄が好きで、よくレコードを聴いていました。その中でも特に「人生劇場・無法松の一生」を口ずさんでいました。私は、そのチラシを見て是非、大正琴を習いたいと思い文化教室に申し込んだのです。
10回コースのうち既に何回か進んでいましたが、箏曲をやっていたお陰で順調にお稽古が出来、気がつけば10年が過ぎました。その間、文化祭やボランティア活動で高齢者施設で演奏したり、小地域活動で演奏したりと、少しではありますが、地域に関わる事が出来、また家元や講師の先生方と刑務所慰問に行ったりと大正琴を始めて色々な体験が出来ています。
何よりも大正琴を習って一番嬉しいことは、父が大好きだった村田英雄の「人生劇場・無法松の一生」を演奏出来た事です。出来れば父が存命中に聞かせてあげたかった。と思うものの、大正琴を弾いて父親の想いに浸る時間を大切に持てることが何よりもうれしくしい時間です。
さあ今日も「じょんがら女節」「風雪流れ旅」の練習をして、三味線の音色も父に聞いて貰おうかな!?