子どもの貧困対策
調布・狛江地区保護司 酒井淳
先日、分区の自主研修で調布市子供生活部山本雅章部長に子供の貧困について講義をいただいた。報道では、かつて一億総中流といわれた日本社会の中で格差が広がっているという現状を「格差社会」という言葉を用いている。この研修を通し現実の深刻さと、その現状を受けた行政の施策について、認識を深めることができた。
日本の貧困率はOECD諸国の中でメキシコ、トルコ、アメリカに次ぎ4番目に高く、また現役世代の貧困率16.3であるのに対し、一人親世帯の貧困率はさらに高く56.5にもなるという。この調査を受け政府は「子どもの貧困対策」を策定して貧困の連鎖を防ごうとしている。
日本の母子家庭の就労率はアメリカ・イギリス・ドイツに比べ高いが、その内実は低賃金長時間労働のため、育児の時間にかける時間は二人親と比べ少なく、当然子どもの生活にも影響を与えている。また収入と学力や自己肯定感にも相関関係が認められるという。
たとえば子どもが学校の友達とテーマパークに遊びに行くという話がでても、一日でも多くの費用がかかるため行くことができない。そのように経済的状況の中で阻害されがちな児童に、調布市では青少年ステーション、児童館、NPOなどと連携をとりながら、居場所づくり、成功体験、繋がりをどう創るかという課題に取り組んできた。
さらに政府の施策を受け、学習支援の場を市が設置する準備をしているとのこと。その学習支援は単なる無料学習塾に止まることなく、親の相談も含めて幅広く総合的な支援の場をとしていきたいという。
先行して学習支援を行っている相模原市では、学生のボランティアが大勢入り、学生が子どもと接して行く中でたじろいだり、試行錯誤しながら共に学びあっている。ボランティアの学生たちも確実に誰かのために働くことの歓びをもらっているという。
新たな市の取り組みが社会的資源として機能することを期待するとともに、保護司として、また近所のおじさんとして、現状に向き合っていきたいと思う。