ファーレ立川のアート
北多摩西地区(立川分区) 中島 満喜子
北多摩西地区(立川分区) 中島 満喜子
JR立川駅北側に1994年にオープンしたファーレ立川という街には、ホテル・デパート・映画館・図書館・オフィスなどが入っている11棟のビルが建っています。そしてこれらのビルの外壁や植栽の中、歩道の端などには36カ国、92人の作家のパブリック・アートが109点設置されています。作品には作家名などが書かれたプレートはなく、自分で歩いて探してくださいというのもアート計画のコンセプトの一つです。そしてここの作品の一番の特長は、ベンチ・車止め・街灯などの役割を持っていることです。
この街のアートをボランティアでガイドしているのが『ファーレ倶楽部』というグループで、私もその一員です。6年前から立川市の小学校20校の5年生が授業として来るようになり、ファーレに近い学校は徒歩で、遠い学校は市が用意したバスで送迎します。
1クラスを4班に分け、各班にガイドが付き50分くらい歩きますが、安全確保のため保護者や先生がついてくださいます。後日感想文を送ってくる学校もあり、それを読むのも皆の楽しみです。感謝の言葉から始まり、驚きや新たな発見を素直に書いて伝えてくれます。
①ニキ・ド・サンファル(フランス)
高島屋とパレスホテルの間にある色鮮やかなベンチは、ニキ・ド・サンファルの作品です。二人でこのベンチに座ると、顔を見合わせて話ができます。『会話』と題されたこのベンチはFRPという強化プラスチッスで創られ、子ども達に人気のある作品です。ニキさんは原色を使った柔らかな形で生命の力をうたいあげる作家です。
②ヴィト・アコンチ(アメリカ)
長さ3m、幅60cm、高さ120cmの半分の車は、ベンチで車止めです。見ためは石かセメントに見えますが、材料はFRPです。そしてこの半分の車は歩道と一体になっています。歩道から湧きあがった車のようです。子ども達が来ると、運転席に誰が座るかが決まるまで時間がかかる時もあります。
③ゲオルギー・チャプカノフ(ブルガリア)
高島屋の駐車場入口近くに鉄の犬がいます。これがチャプカノフの作品です。彼は犬の他に羊と馬を作りました。材料は立川で使われていた農機具の残骸です。残骸置き場に行き、残骸を見て何を作るか考えました。一番大変だったのは、危なくないように磨く作業だったそうです。羊の角は耕運機の刃です。でも磨いてあるので子ども達は楽しくまたがっています。
ファーレ立川には、1年に1日しか見られない厨子に入った神様の作品や、太陽が出ている夏至の日にしか見られない作品もあります。
仲間と「楽しくなければボランティアじゃない」を合言葉に、楽しくガイドをしながら歩いて17年になりました。