「石田波郷俳句大会」
清瀬市 栗原きよし
まもなく保護司の任期も終わろうとしている。最後の対象者は、何度電話をしても、自宅に手紙を出しても、なかなか来訪しない少年だった。4月の終わり頃やっと現れた彼は髪の毛も黒く戻りかけ、穴だらけのGパン姿だった。そして、開口一番「どうやって生きて行けばいいのか判らないんです」と。
役人を退職後「保護司を引き受けてくれ」とボーイスカウトのリーダー時代にお世話になった住職さんに頼まれた。これがきっかけでロータリーやら行政相談に関係し、最後に行き着いたのが石田波郷俳句大会の実行委員長だった。
西の松山に対抗し、東の清瀬市を目指すこの俳句大会では、将来を背負う俳人を育てようと努力している。先生方の協力を得て学校やサタデースクール等で出前教室にも取り組んでいる。
どの組織でもそうだろうが、たとえばロータリークラブにしても、いかにして若い世代を育てるかは喫緊の課題ではないだろうか。数日前、元杉並中学校長藤原和孝さんの記事に出会った。英語教育に対する発言で「キミが話す英語は、キミが話す日本語を越えない」と。もし、最後の対象者が日本語を理解できる人物だったら、目標を見失うことはなかったのではないか。
5,7,5のたった17文字が、日本語が理解できる少年を育ててくれることを願っている。