北多摩北保護区東久留米分区 小山 弘
定年退職を機に、破損した陶磁器の修復「金継ぎ」を習いました。私なりに修復方法を説明します。壊れた大切な陶磁器は粘土や釉薬で修復できません。簡単に修理ができる手軽さから合成接着剤(強力接着・速乾性)が使われています。合成接着剤は熱に弱く、陶磁器の湯呑等など不向きです。これを修復するには、漆を使った接着が適切な方法とされています。陶器の内部に細かい穴が多く空いて、漆が入り硬化を利用した技法です。壊れ方で成形方法が違いますが、麦粉・米粉・地の粉(珪藻土)・砥粉(砥石)の材料に生漆を混ぜ成形をします。成形の後に蒔絵技法で金粉を蒔き装飾をして終了です。漆は油(サラダ油・菜種油)が混じると硬化しない性質があり、漆の着いた筆を油で根元までしっかりと揉み出し、石鹸で油を洗い落し乾燥します。この作業を怠ると筆先が固まってしまいます。
東村山市に下宅部遺跡があることを知り、展示施設を一度見たいと思っていました。今年10月に西武園駅から15分歩いた処にある「八国山たいけんの里」、今から3000年前の縄文時代後期の遺物を展示した施設を見学しました。住宅建て替え掘削工事で発見されたようです。特に漆の木杭(治水で漆の木を利用した杭)と漆の付着した器の破片を見ました。漆の木は自生できず、手入れをしなければ荒廃してしまいます。縄文人が漆林の管理と樹液採取又、生漆を作る技術を持っていたことと、それが現在に引き継がれていることに驚きました。
漆は乾燥して固まると思われていますが逆で、多湿の環境で固まります。漆の葉に触れるだけで、発疹・小水疱など炎症すると思われていますが、何事も正しく理解し注意すれば怖くないものと、帰宅の道すがら確信しました。