2016年4月7日木曜日


3年目の初心

 

                      八王子地区保護司 山田雅彦

 八王子地区保護司となって3年目。ようやく、「保護司」と人から呼ばれ、自身でも「保護司」と自称できるようになったこの頃である。対象件数は数と内容ともにベテラン先輩と比較すると、それこそ雲泥の差があるが、保護司活動全般の姿がやっと見えてきた。しかし、本音を漏らすと、保護司として対象者との直接的な接触・支援をする活動以外の活動があまりに多い。その現実が自分の予定表の空白を埋めてしまうことが多い。それでも、これは組織となれば当然であり、保護司諸氏との接触では人間的な学びも多くあり、各種の研修ではこれまで全く認識すらしなかったことに気付くこともあり、人間としての幅を広げることができているのではないかと自分で自分を納得させている昨今ではある。

さて、最近大変気になっていることの一つは、再犯の件である。月に三度ほど関わっている更生保護施設を、保護観察を終わり社会に出ていく人が再犯者となってしまうことがある。施設ではあれほど更生の生活を送り社会に出るが、犯罪の淵に再び落ち込んでしまう。なぜ、あの人が!と、衝撃を受けることが度々。また精神を病んでそのまま精神科に入院してしまう人も多い。力の及ぶ限り支援しても残念ながら更生・向上に結びつくケースになることがなかなか難しい。まだまだ自分の感化力がないのだと歯がゆい思いに責められる日々を送っている。

一方、こうして犯罪を犯した人達を強く意識していると、加害者がさまざまに手をかけられている一方で、あまりに「被害者」またその遺族・家族のことが国側からも世間からもないがしろにされているのではないかという現実がある。保護司としても常に被害者の観点を忘れてはなるまい。たとえ覚醒剤犯罪であっても、犯罪者の家族の痛手はあまりに大きい。加害者側が被害者側の痛切な悲しみを理解してその分まで更生するような方向に歩んでいくように心を仕向けて行かなければ、保護司としての更生保護活動の意義はないと思う。しかし、理想と現実の懸隔は、あまりに・・・・・・。

あれこれ悩んでいても現実は常に目の前にある。今後の保護司活動として、せめて犯罪を犯す側と被害者の側の心理を両面から考えて支援し感化し、決して再犯はしないという強い意志が心の底から醸成されて自身を死ぬまで律し続けていけるように、心からの働きかけを行っていきたいものである。そのためにも、これまでの拙い人生経験に胡坐をかいていてはいけない。自らがさらに人情の機微を深く理解し、人間としてさらに成長していかなければならないと思う。