2017年8月7日月曜日

対象者から学ばせていただく保護司活動

                                                               北多摩北地区保護司会 西東京分区 永澤清子 

 生活の一部となっている保護観察の仕事は毎回初めての出会いから始まります。担当者も対象者も初めての出会いに、ドキドキしながら何も分からない手探り状態の中で、この先どのような面接をしていけば更生の道を見つけられるのかと考えて話を進めていきます。

これまで長い保護観察になりますと私の場合は、4年以上も毎月2回の面接を行いました。最初はお互いにぎこちない会話から入り、その人の犯した事について、何故そのようになったのか、そして刑が決まり、更生の道を進み、反省を促し、今後どうしたら今までと違う道を歩けるのか等、未来について充分本人が納得できるまで話すことができるのですが、時間が経つにつれ、犯罪の話ばかりしていても仕方がないので、いろいろ世間話もするようになり、家族の事、テレビ、新聞等の話題にもなります。

そのような会話の中から、対象者の出生や育ってきた生活環境、習慣、周りの人達との出会いによって人格が作られていくのだということを実感させられました。対象者一人ひとりそれぞれに多種多様な事情があり、二つと同じ状況というのはありませんでした。対象者との関わりはどんな時にも学ぶことがあり、その中から得るものも多く、保護司として何一つ無駄はなかったと感じています。このように今でも慣れるということはありませんが、おかげさまで毎回様々なケースに接する中で成長させて頂いております。

担当した少年が「勉強は大嫌い、働くのも嫌」なんて言うので「人間は病気の人以外は働くか、勉強するために学校へ行くかどちらかを選ぶのよ」と私が言うと「えーなんで」と言いながら「選ばなきゃあいけないの」と言い最後には「じゃあ学校へ行く」と言いました。何でこんな正直で可愛くてピュアな子が罪を犯したのかと不思議に感じるような子どもでした。あんなに勉強が嫌いだったその子も大学生になりました。

人間は何かのきっかけで生き方が変わることもあるのです。この現実を目の当たりにすると「ああ、保護司もいいのかなあ」とひと時思い、そしてまた悩む日々が始まります。