2019年4月25日木曜日

癒える日は、あるか  ~保護司としてのある出会いから

           八王子地区  山田 雅彦



その女性は

夫、を、殺した

果てしないDVの果ての

睡眠薬と電気コードと自棄の殺意の深夜

それから暗い夜とさらに暗い昼を十五年・・・

厚く高い壁の中で「女」と「人間」を見ることなく

ひたすら「殺人」と「自分」と向かい合う日々を十五年・・・

しかし

その日々は、自分を苛む日々で、ゆるす日々にはならなかった



社会復帰のための更生施設に入所しても

毎夜のトラウマと精神薬の副作用で

自由になったはずの心はさらに傷ついて

周囲の暖かい傾聴も助言にも癒されることなく

数々の精神科も精神薬も躁と鬱を往来させただけで

昼間の肉体を使う仕事に現実と痛みを忘れても

自らを罰する深夜は変わらない



病となったその心は、心配の人も薬もそして自らも治せない

今、一人暮らしは否応なく日々の「孤独」と向き合わせる

時は、前と後ろに刻一刻と過ぎていくが

自らが築いてしまっている自己防衛の城壁は未だに崩せない

彼女が自らをゆるす日は、いつ、訪れるのか

ほんとうの笑みは、いつ、その頬を緩めるのだろうか

私は、あなたにある、遠い、遥かな未来と

あなたがあなたを恕せるようになる日々を重ねる